3月7日に第37回日本アカデミー賞授賞式が行なわれました。石井裕也監督の「舟を編む」は作品賞、監督賞、脚本賞(渡辺謙作)、主演男優賞(松田龍平)、録音賞(加藤大和)、編集賞(普嶋信一)の6部門で最優秀賞を獲得しました。他にも毎日映画コンクール日本映画大賞、報知映画賞作品賞、日刊スポーツ映画大賞作品賞など数々の賞を受賞しています。
以下、ネタバレです。
辞書ができるまで
言葉の意味を知りたいとは誰かの考えや気持ちを正確に知りたいということです。
それは人と繋がりたいという願望ではないでしょうか。
この映画で一番心に残った台詞です。
辞書を作るにはもの凄い時間と労力を費やします。もちろん模倣は禁止です。時代とともに生まれてくる言葉や、使わなくなった言葉を入れ替えなければいけません。そして最もわかりやすい文章で書きます。なので仕事の時間以外のプライベートでも、知らない言葉や分かりやすい解説が見つかるとメモをとります。耳を澄まして周囲の会話を聞いている姿を見ると休みのない大変な仕事だなと思います。言葉の奥深さや難しさを痛感しました。出来上がった辞書はスタッフが何度も目でチェックします。辞書は完成まで15年もかかる大変なものだったのです。
毎日たくさんの言葉と向かい合い、触れ合って、大切にしている様子がわかります。言葉の真に迫ったものだけが言える台詞だと思いました。作り手の熱い気持ちが伝わる台詞です。
時代の流れ
この映画の時代設定は1995年です。PHSが流行りだした時代になります。パソコン(Windows95)や携帯電話の復旧にともない、新しい言葉や概念がどんどん生まれました。
映画を見ていて、久々に聞く言葉たちに笑ってしまいました。
MK5、コギャル、チョベリグ、BL…
言葉に限らず、新しく生まれるものもあれば消えていくものもあります。辞書もまた新しい時代を迎えようとしていました。
監督:石井裕也
脚本:渡辺謙作
キャスト:松田龍平、宮崎あおい、オダギリギョー、黒木華、小林薫、加藤剛
製作年:2013年
製作国:日本
上映時間:133分