ある日、自分の顔を見て
「自分が俳優になるなんて無理だ」と諦めてしまいます。
映画の中で目をギラギラさせて輝くスターたち。
スターと自分を比べてしまったのです。
俳優は美男美女じゃないといけないのでしょうか?
しかし、ある日、中学の先生の一言で俳優になる事を決意します。
まだ中学生ではありましたが将来の進むべき道が決定したのです。
その日から俳優になるための勉強が始まります。
何度もオーデションを受け、俳優の道を諦めなかったお話です。
劇団「座キューピーマジック」主宰、俳優の田窪一世さんにインタビューしました。
俳優に憧れた理由
1950年代に第二黄金期を向かえ観客動員数は11億人を超えたそうです。(近年は1.5億人前後と言われていますので、かなり減少しております)
1960年に日本では歴史上最高となる547本の映画が製作され、庶民の娯楽として、映画は一番栄えた時代を向かえたのです。
当時、子供だった田窪さんは実家が映画館だったこともあり、朝から晩まで映画を見ていました。(しかも当時は三本立てが当たり前!)
憧れたスターは
いわゆる銀幕のスターです。
俳優を諦めた理由
映画「黒部の太陽」より。右、石原裕次郎
田窪「鏡を見て、つくづくスターは無理だな」
自我が芽生えた中学生の時、鏡に映る自分の顔を見てスターにはなれないと思います。
努力ではどうにもならないもの。
容姿はその人の立派な才能です。
顔は成長する過程で変わり、体型はトレーニングで理想に近づけることができます。
しかし、それは時間のかかる作業であり保証はありません。
持って生まれたもので勝負してしまうことが早いのです。
俳優を目指す転機
映画「ギターを持った渡り鳥」より。小林旭
人間はちょっとしたことで自信に繋がります。
特に、やってみたいのだが自分はに自信がなく無理だと諦めていたことは他者の評価は大きな自信に繋がります。
学校の先生の何気ない一言で
「お前、芸能界向いてるんじゃないか?友人のディレクターよりも才能あるかもよ」
この一言がスター以外の可能性を生み出し、芸能界で仕事がしたいことに気づかされるのでした。
将来の不安から救われた瞬間だと思います。
そして高校生の時、劇団民藝の舞台を見て映画スターではなく、舞台俳優の道を目指します。
俳優になるための勉強方法
ドラマ「鬼平犯科帳」より。萬屋錦之助
田窪「高校生の時、とにかく戯曲や小説を読み漁った」
高校時代は授業そっちのけで俳優になるための勉強をしたそうです。
勉強方法とは?
それは小説、戯曲、映画、舞台をとにかく観ることだそうです。
学校の図書館の本はほとんど読んでしまいました。
役者が活字に触れておくことは大切なことで、物語りの理解力が上がったり、セリフ覚えがよくなったりします。
俳優としての基盤ができます。
たくさんの登場人物の心情を理解し、想像することは実際に台本を手にして演じるよりも良い勉強になったりします。
合格できた理由
映画「若さま侍捕物帖鮮血の人魚」より。大川橋蔵
当時はコネで芸能事務所に入ることが一般的で、今ほど間口が広くありません。
田窪さんは劇団に入ること以外に道がなく、東京でたくさんの劇団の試験を受けたそうです。
落ち続けて学校の卒業が迫った頃に、やっとのことでとある劇団に合格してキャリアをスタートさせます。
田窪「もう後がなく、これで落ちたら一年間バイトしながら生活しなけばいけない。それが良かったのか、何とか合格できた」
インタビューを終えて
役者としてのキャリアをスタートさせたことは一つの目標が達成されたことになります。
しかし、この世界はここからが勝負。
自らを商品として、売りとなる個性を磨かなければいけません。
そして魅力を出していく。
大好きだからこそ俳優になれたと話す田窪さん、個性の磨き方は好きなことだけをとことんやることだそうです。
好きなことだけでいいの?
疑問に思いましたが自分が興味を持ったことを追求し、極めることが個性になると話す田窪さん。
これほど合理的な方法はないと思いました。
YouTubeチャンネル「ForActors」
俳優、声優、モデル、アイドル、お笑い芸人など、現役で芸能活動を続ける「表現者」にインタビューした番組。
芸能人になりたい方やプロの技術を学びたい方のためにYouTubeで提供します。
「貴重な一つの意見」として参考にしてもらいたい。
そして、考えてもらいたい。
生の声から感じとって欲しい。
その表情から感じて欲しい。
そしてForActorsの価値を見出して欲しい。
現役の表現者たちは今、その業界の渦の中にいます。
その「声」はどんな文章よりも説得力があるのではないかと思います。
「どうしたら芸能事務所に入れるか?」
「養成所や学校は必要か?」
「オーディションで気を付けていることは?」
「業界の景気は?」などなど
業界に興味のある方はYouTubeチャンネル「ForActors」へ
インタビュー/記事/石川裕太
役者/ナレーター/インタビュアー/語り/絵本の読み聞かせ。役者に何が出来るか?を一番の疑問に活動する。役者が他の芸事を行うとどういった表現が生まれるのか?その価値を見出す。